年に一度ご先祖様が我が家に帰ってくるといわれているお盆。
地域によってもお盆の時期は異なりますが、一般的には8月が多いのではないでしょうか。お盆にお供えするものといえば、ナスやキュウリの馬と牛、そしてお花ですね。
今回はそんなお盆のお花について、選び方やおすすめの種類をご紹介していきたいと思います。
お盆にお花をお供えする理由
お盆にお花を飾る一番お理由は、故人の苦しみを少しでも癒やすためです。
しかし、年に一度ですから故人の好きな花や季節の花等を色々考えて、お供えすることにより、死者の冥福を祈る気持ちを示し「お供えする人自身に穏やかな気持ちにする」という意味もあることをご存知でしょうか。
ただお花を注文するのではなく、故人との思い出を思い出しながら、お花をお供えするようにしましょう。
お花は線香や提灯とともに、故人を供養するための重要なお供物なのです。
お盆にお供えするお花の基本
仏教を象徴する花と聞いて、何を思い浮かべますか?
葬儀では菊の花が定番となっているので、菊の花が出てくる人もいるかもしれません。ですが、仏教の花は何かと問われれば、「蓮華」や「睡蓮」が挙げられます。
蓮華や睡蓮は泥水の中から生まれても、泥に染まらず、心洗われる清らかさと美しさを失わずに気高く咲き誇る姿が仏教における慈悲の象徴とされ、称えられているのです。
また「一蓮托生」という四字熟語の語源にもなっていて、善行をした者は極楽浄土に行き、蓮華の上に生まれ変わるという仏教での教えが元となっています。
本来は仏教用語なのですが、現在は「物事の善悪や結末に関わらず、仲間や連れと行動・運命を共にする事」を指します。
蓮華や睡蓮はベトナムやインド、スリランカの国を代表する花となっており、また日本では仏教における象徴としてだけではなく、愛知県や埼玉県等の一部の市で「市の花」として扱われています。
特に埼玉県行田市の蓮は「古代蓮」と呼ばれ、工事で偶然掘り起こされたもので、約1400年から3000年前の花とされています。
ちなみに青蓮華という花もあり、読んで字のごとく青色の蓮華という意味です。度々、仏様や菩薩様の目に例えられます。
お盆にお供えするお花の選び方
地域や家庭・宗派によって多少の違いはありますが、トゲのある花、香りの強い花、毒のある花、つる性の花はお供えにふさわしくないとするのが一般的です。
そのため、バラや彼岸花、ユリなどは避けた方がいいとされています。
また、花がボトッと落ちる様子から縁起が悪いとされる椿や暗い印象を与える黒い花も控えるようにしましょう。
ただし、最近では故人が好きだった花を供えることもあり、そこまで気構える必要はないという意見もあります。家族の行事なので、迷ったときは両親に相談するのが安心です。
花の本数・形
花数は3、5、7本のいずれかに揃えるのが一般的です。
これは、慶事の際は奇数がいいとされている日本の風習に加えて、お墓に供えきれないからです。
花束は左右に供えるので1対(2束)用意し、神事に用いられる榊のようにひし形に整えて供えるようにしてください。
値段
お盆にお供えするお花の値段相場は5,000円〜10,000円程度です。
ただし、高すぎるお花は、遺族からお返しの心配をされてしまったり、逆に安すぎても不快に思わせてしまう可能性があるため注意が必要です。
故人がなくなってから初めて迎える新盆(初盆)や法要では基本的に白いお花をお供えすることとなっていますが、亡くなってからある程度の期間が経っていれば生前故人がお好きだった花の種類や色を選んでも問題ありません。
花をお供えする時期
お盆の時期は地域によって異なり、関東地域は7月13日~16日、それ以外は8月13~16日に行われます。また、旧暦の7月15日に行う地域もあるため、事前に家族の風習を確認しておきましょう。
花やお供えものは7月(8月)12日に準備することが多いので、花を贈る場合は相手の在宅を確認した上で、準備に間に合うようにすると親切です。
花を贈るときの注意点
新盆の場合は花色を白で統一し、2年目以降は色のある花を合わせたものにします。
直接赴けずお花だけを届ける場合は、気持ちを込めたメッセージカードや手紙を添えて贈ると喜んでもらえますよ。
お盆のお供におすすめな花の種類
菊
お盆の花の定番「菊」は邪気を払うとされており、花びらがあまり散らず長持ちであることから、仏花に古くから用いられてきました。菊は「高尚」「高貴」「清浄」「真実の愛」という花言葉をもっており、白は「誠実」「真実」、赤は「愛情」と色ごとにも花言葉があります。
リンドウ
「誠実」「あなたの悲しみに寄り添う」という花言葉をもつリンドウは、 釣り鐘のような形をした青紫色の花がさり気ない華やかさを演出してくれる仏花に人気の花です。
キンセンカ
キンセンカの花言葉は「慈愛」「別れの悲しみ」です。濃い黄色や赤、オレンジといったあたたかい色の花で、大振りなためボリュームを出してくれます。
スターチス
「変わらぬ心」「途絶えぬ記憶」という花言葉をもつスターチスは、花が長持ちで花びらも散らないことから仏花によく用いられます。細かい花が集まった様子が、仏花に彩りを添えてくれますよ。
トルコキキョウ
トルコキキョウは、真っ白なものや紫に縁取られたものが仏花によく用いられています。「清々しい美しさ」「優美」という花言葉からも、さわやかな印象を与えてくれそうですよね。
アイリス
アイリスの花言葉は、「よい便り」「あなたを大切にします」です。ゆったりと垂れ下がる大きめの花が、華やかで優雅な花束に仕立ててくれます。
グラジオラス
「楽しい思い出」という花言葉をもつグラジオラスは、水揚げがよく、お供えしてからも長く花を咲かせてくれます。花は大きくゴージャスな印象です。
カーネーション
母の日に贈るイメージが強いカーネーションも、仏花によく用いられる花の1つです。
特に「尊敬」「私の愛情は生きている」という花言葉をもつ白のカーネーションがよく添えられています。
ミソハギ
ミソハギは「盆花」と呼ばれるものの1つで、体の汚れを祓う禊(みそぎ)に古くから用いられてきたことから「精霊花」「仏様花」と呼ばれています。花言葉は「悲哀」「慈悲」「純真な愛情」です。
まとめ
命の尊さと儚さを私たちに再確認させるために、お墓や仏壇に花が添えられます。故人を偲び、今生きていることに感謝の気持ちを込めてお盆の花を準備し、集まった家族や友人と思い出話をしながら、「今」を改めて考えてみる機会にしたいですね。
マナーの上で嫌われる花はありますが一番は故人の好きな花や家族の思い出の花など発想を広く持ってお供えを考えるのもよいのではないでしょうか。
お悔やみのお花を選ぶ際は、故人との思い出を懐かしむということも忘れないことがポイントです。