外側がきれいな紫で、内側が白色の花を咲かせるモクレンは、平安時代中期から日本に伝わる歴史深い植物です。
とても良い香りが特徴で、庭に植えるだけで花の香りを楽しむことができると人気があります。
この記事では、モクレンの基本情報や正しい育て方などを詳しく解説するので、モクレンを育てたいと思っている方はぜひご覧ください。
モクレンの基本情報
モクレンの基本情報を見ていきましょう。
園芸分類 | 庭木・花木 |
形態 | 高木 |
原産地 | 中国 |
草丈/樹高 | 4~5m |
開花期 | 4月 |
花色 | 複色 |
耐寒性/耐暑性 | 強い/強い |
特性・用途 | 落葉性,耐寒性が強い |
花の色や香りが特徴的なモクレンは、中国が原産地の植物です。
日本には平安時代中期に中国から渡って来ており、当時は「和名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)」という名前で流通をしていました。現在は観賞用が主流ですが、日本に渡ってきた当初は「鼻炎」や「頭痛」を抑える漢方の材料として流通していたそうです。
モクレンは別名「シモクレン」とも呼ばれていますが、最近ではハクモクレンという品種も多く流通しはじめました。モクレンとハクモクレンの大きな違いは花の色です。
モクレンは紫のお花に対して、ハクモクレンは白いお花を咲かせる特徴があります。ほかにも、花弁の枚数がモクレンは6枚、ハクモクレンは9枚と違いがあるので、品種を見分けるのに参考にすると良いでしょう。
モクレンの正しい育て方
モクレンは初心者でも比較的育てやすいと言われている植物です。
しかし、正しい育て方を知っておかないと、上手に育てることは難しくなるでしょう。ここでは、モクレンの正しい育て方について解説をしていきます。
水やり
モクレンの水やり方法は非常に簡単です。しかし、モクレンが鉢植えか地植えかで水やりの方法がことなるので、それぞれの方法をご紹介します。
鉢植えの場合は、土の表面が乾いてきたことを確認したらたっぷり水やりをしましょう。
受け皿に溜まった水は、根腐れの原因になるのですぐに捨てることが大切です。
地植えの場合は、植え付けから根が張るまでは、鉢植え同様に土が乾燥をしていたらたっぷり水やりをしましょう。そのあとは、基本的に自然の雨だけで元気に育ちます。ただし、日照りが続いた場合や真夏の暑い時期は、定期的に水やりをするとよいでしょう。
置き場所
モクレンを上手に育てるには、日がしっかり当たり風通しの良い場所が好ましいです。
大きくなると4〜5mにもなるので、地植えの場合はなるべく広い場所を確保して育てるとよいでしょう。もちろん鉢植えを使用して小さく育てることもできますが、非常に生育が旺盛な植物なので、横に枝を伸ばすこともよくあります。
鉢植えの場合でも、横幅3mくらい確保しておくと良いでしょう。
肥料
地植えの場合は、春先が一番栄養を必要とするので、暖かくなる前の2月に寒肥を与えましょう。
この時期は、油かすや堆肥などの有機肥料を施します。その後、9月にも油かすと骨粉をまぜた肥料を根元に施します。
地植えの場合は、3〜6月の間に月に1、2度、油かすと骨粉をまぜた肥料を施して下さい。
土作り
モクレンは、水はけが良く栄養たっぷりの土を好む傾向にあります。そのため鉢植えは、赤玉土(小粒)8:腐葉土2に混ぜあわせた土を使用するようにしましょう。
地植えの場合は、耕した土に腐葉土や堆肥を2〜3割混ぜてモクレンを植えて下さい。
モクレンを増やす方法
モクレンを増やす方法は主に2つです。
- 種まく
- 挿し木
それぞれどんな方法なのでしょうか。詳しく解説していきます。
種まき
モクレンを増やす一般的な方法は「種まき」です。しかし、モクレンの種は基本的に販売されていないことが多いので、既存のモクレンから種を取るか、周りから貰う必要があります。早速、種まきの手順を見ていきましょう。
- 実から種をとって、水で果肉を洗い流す
- 育苗ポットに小粒の赤玉土を入れて、種が重ならないように2〜3粒植える
- 土が乾かないように水やりをしながら、発芽まで日陰で管理をする
- 発芽し、本葉が3〜4枚付いたら2〜3号の鉢植えに植え替えをする
- 苗が十分に育ったのを確認したら、地植えや鉢植えを行う
モクレンの植え付けは、9月〜10月が好ましいです。そうすると、ちょうど暖かい時期になる3〜4月に植え替えができるので、元気なモクレンを増やすことができるでしょう。
挿し木
モクレンは挿し木でも増やすことができます。挿し木とは、株の一部を切り取り発根させることによって植物を増やす方法です。挿し木の具体的な方法を見ていきましょう。
- 花が咲き終わったあとに伸びる枝を、10〜15cm切り取る
- 先端にある葉っぱを3.4枚残して、ほかの葉っぱは摘む
- 切り口を斜めにして、切り口を1時間ほど水に浸ける
- 水から取り出して、切り口に植物成長調整剤を塗る
- 挿し木用の土や、小粒の赤玉土に枝を挿す
- 水をたっぷりと与えて、風が通らない日陰で保管する
- 土が乾かないように定期的に水やりをして、根が十分に育ったら地植えや植え替えを行う
モクレンの挿し木は、花が終わった6〜7月が好ましいです。
一見難しそうにみえますが、メジャーな方法なので、やり方さえ覚えてしまえば簡単にモクレンを増やすことができるでしょう。
モクレンを育てるときによくある疑問
モクレンを育てていると、どうしてもさまざまな疑問が生まれますよね。そこで、ここではモクレンを育てるときによくある2つの疑問について、解説をしていきます。
モクレンに付きやすい害虫や病気はある?
風通しの悪い場所で育てていると、カイガラムシが付きやすくなる可能性が高くなります。
カイガラムシは、新しい芽や葉っぱに多く付きやすく、発生すると植物を弱らせてしまうので、早めに対処しましょう。カイガラムシの駆除には、殺虫剤が最適です。
また、害虫の排泄物が原因ですす病を発症することがあります。すす病とは、枝が黒くすすだらけになったように見える病気で、植物にとって大切な光合成の邪魔をしてしまうので、なるべく早めに対処しましょう。すす病を見つけたときは、歯ブラシなどでこするのが有効です。
モクレンの花が咲かないときはどうしたら良い?
モクレンの花が咲かない場合は、以下の可能性が考えられます。
- 花芽が付いてから強く剪定した
- 日当たりが悪すぎる
- 乾燥しすぎている
この3つの中でも特に多い原因は「剪定」です。モクレンの剪定は、花が咲いたあとから新芽がでるまでの期間で行います。この期間外に剪定をすると、花が咲かない原因になるので、剪定の期間や方法を守って行いましょう。
剪定に思い当たる節がない場合は、日当たりや乾燥など育てている環境が影響している可能性があるので、今一度モクレンを育てている環境を見直してください。
まとめ
モクレンは非常に育てやすい植物ですが、観葉植物なので大きく育つ可能性が非常に大きいです。必ず、大きくなることを想定して、植える場所や置く場所を決めると良いでしょう。
ぜひモクレンを育てて、お花を楽しんでみて下さい。