水生植物のスイレンはアフリカや東南アジアが原産で、ピンクや白の花を咲かせます。清純な心や優しさといった花言葉があり、専用の鉢を使って栽培します。開花時期は6〜11月です。本記事ではスイレンの基本情報から育て方、注意点を解説します。また記事後半ではスイレンに関するよくある質問をまとめていますので、ぜひご覧ください。
スイレンの基本情報
まずはスイレンの基本情報から紹介します。
科名 | スイレン科・スイレン属 |
英名 | Water lily |
学名 | Nymphaea |
原産地 | 東南アジア・アフリカ |
開花時期 | 6~11月 |
花色 | 白・黄色・ピンク・紫 |
花言葉 | 清純な心・優しさ・甘美 |
スイレンは熱帯性と温帯性の2種類がある水生植物です。よく似た植物にハスがあり、両者の違う部分は、ハスは茎を水中から伸ばして咲き、スイレンは水面に浮くように咲きます。葉も形の違い以外に、スイレンは光沢をもった葉でハスには光沢がありません。
スイレンが象徴するもの
スイレンには世界各地でさまざまな象徴があります。まず学名のNymphaea(ニンフェア)は水の妖精でこれはギリシア神話に登場する水の精です。この水の精は身分が違う相手と許されない恋をしましたが、実ることはなく最後は湖に飛び込みスイレンへ変化したといわれています。
ほかにもエジプトではナイルの花嫁や国花の象徴になっています。とくにエジプトは花の原産地でもあるため、咲いては閉じるその姿に再生の象徴も重ねていたようです。
スイレンの別名
別名はヒツジグサ(未草)でこちらは日本在来の品種で実はスイレンとは属名の総称です。明治の頃に海外からスイレンが日本へやってきた際、区別をとくにしなかったため海外のスイレンも日本のヒツジグサも「スイレン」と呼ぶようになりました。
ヒツジグサの由来は花が咲く時間帯がお昼すぎ、未の刻だったからといわれています。日本にもともと咲いていた野生の品種はこのヒツジグサのみで、それ以外は品種改良が施された海外生まれのスイレンです。
スイレンの花言葉
スイレンの花言葉には、「清純な心・優しさ・信頼・信仰・甘美」です。清純な心という花言葉は、花の色の白のイメージからつけられており、信仰はエジプトで太陽の象徴になっていたことが由来と考えられています。
女性へのプレゼントで清純な心や優しさなどの花言葉のメッセージカードをつけて贈ってもいいかもしれません。またスイレンには花の色別の花言葉もあります。白のスイレンは純白や純粋、ピンクと紫は信頼、黄色は優しさや甘美です。
スイレンの花言葉は怖い?
素敵な花言葉が多いスイレンですが、実は怖い花言葉もあるのです。それは「滅亡」で、由来はエジプトから来ています。ご存じのとおり、エジプトは一時期とても栄えた文明ですが最終的には滅んでしまいました。
スイレンはエジプトの国花にも選ばれているため、「滅亡」という花言葉がついたと考えられています。またスイレンは、繰り返し咲く習性からエジプトでは再生のシンボルにもなっており、一度終わりを迎える「滅亡」が花言葉につけられているのです。
スイレンの育て方
ここからはスイレンの育て方を解説します。スイレンは、熱帯性と温帯性で花が咲く時間帯が異なります。また耐寒性の強さもそれぞれ違うため、室内向き、屋外も可能、と育て方が分かれるので注意が必要です。置き場所を選ぶときは、育てようとしているスイレンが熱帯性と温帯性のどちらなのかをしっかり確認しておきましょう。
睡蓮鉢と内鉢を用意
育てる際に必ず必要となるのが睡蓮鉢と内鉢です。スイレンは水生植物なので、自宅で栽培する場合も水のある環境を用意しないといけません。そこで必要になるのが睡蓮鉢と内鉢で、睡蓮鉢は大きなどんぶり型の器です。水をここに貯めるため底穴は空いていません。一方内鉢はその中に入れるもので、スイレンの株や土を入れておく容器です。
気候に合わせ品種を選ぶ
先ほどもお伝えしたとおり、スイレンは熱帯性と温帯性があり、それぞれで寒さへの耐性が異なります。住んでいる地域が寒い場合、耐寒性の低いスイレン苗を選ぶと、育てるのが難しくなるでしょう。目安として、熱帯性のスイレンは15度を下回る環境下では冬を越せません。雪が降ったりする地域なら温帯性のスイレンがおすすめです。
粘着性の高い土を用意
スイレンに適した土は粘着性の高いものです。初めてスイレンを育てる場合、土を自作するのは難しいかと思います。一般的な花の土などを使用してしまうと、水中に入れた土が浮き上がり水と混ざってしまうからです。そのため、専用の土がおすすめです。購入した土に元肥が入っていない場合は元肥を入れるようにしましょう。
3月から7月中旬に植え付け
植え付けを行う時期は3~7月中旬が目安です。用土を入れた内鉢に苗を入れ、しっかり固定させておきます。次に用意した睡蓮鉢に水を入れ、土を入れた内鉢ごと睡蓮鉢へ沈めてください。土が内鉢から溢れ出てこなければ、きちんと植え付けられています。睡蓮鉢の中を掃除や植え替えをしたい時は内鉢ごと取り出すだけで済みます。
スイレンの育て方の注意点
基本的な育て方さえマスターできれば、スイレンを育てるのはそこまで難しくありません。植物を育てたことがある人なら、すぐに慣れることができるでしょう。
とはいえ、注意すべき点もあります。以下にスイレンの育て方の注意点をまとめました。美しいスイレンを咲かせて長く育てられるように、気をつける点をおさえて育てましょう。
日当たりの良い場所に置く
スイレンは日当たりが少ないと花があまり咲きません。咲かないどころか花が開花時期を迎えたのに全くつかないということも起きます。そうならないためにも、必ずよく日が当たる場所で育てるようにしてください。また室内の場合は屋外よりも日が当たらないため、日に当てているつもりでも足りていないことがあるので注意が必要です。
水は減ってきたら足す
常に水中に浸っているスイレンは花や野菜のような水やりは不要ですが、株が水を吸っているため次第に水の量が減っていきます。そのため、水が減ったら都度補充するようにしましょう。
また、2週間に1回は鉢の水を半分程度入れ替えることをおすすめします。同じ水を長い間使用していると、アオミドロが発生してしまうからです。
スイレンに関するよくある質問
ここまでの育て方や注意点をふまえたうえで、冬越しやスイレンと蓮との違い、睡蓮鉢のその他の使い道など、最後はよくある質問を3つまとめました。基本的な育て方を知ることはもちろん大切ですが、スイレンそのものの知識を増やしておくのもおすすめです。スイレンについて、より理解できるでしょう。
スイレンは冬越しできる?
スイレンは多年草の植物なので環境さえ正しく作れていれば冬越しも可能です。秋になると花は落ちてしまいますが、株は生きているので温帯性の寒さに強いスイレンならそのまま春を迎えられます。
一方、熱帯性の寒さに弱いスイレンは、冬場は屋外の水が冷えるため室内へ移動して管理しましょう。気温も15度以下にならないように気をつけてください。
ハスとスイレンはどう違うの?
スイレンはスイレン科の植物で、ハスはハス科の植物です。花の咲き方もハスは水面から高く茎を伸ばしてひまわりのように堂々と咲きます。スイレンは水面の上に浮くように咲くので、咲き方はまったく異なります。葉の形もハスはマットな表面で少しフリルがかったような葉先をしているのに対し、スイレンの葉はツヤがあり葉先も丸いです。
スイレンの鉢に魚を入れてもいい?
スイレンが入っている睡蓮鉢に魚を入れても問題ありません。魚を入れると見た目が華やかになりますが、現実的な嬉しいメリットもあるのです。それは夏の水辺に発生するボウフラ対策になることです。ボウフラは湧くと見た目が悪くなるほかに、成長すると蚊になってしまいます。しかし魚がボウフラを食べてくれるので、手軽に対策ができるのです。
まとめ
スイレンを育てるのが初めての人は市販のスイレン用の土を使用するのがおすすめです。日当たりのいいところに置き、水が減ったら追加、数週間に1度の頻度で半分ほど水の入れ替えなどを守れば育てられるでしょう。
もし人へ贈る際は、素敵な花言葉を添えてプレゼントすれば喜ばれるのではないでしょうか。ぜひスイレンを育ててみてください。