夏の暑い季節、他の季節よりも高温多湿な環境下になり、切り花は傷みやすくなります。そのため、どうしても日持ちが短い傾向にあり、「せっかく飾ったのにもう枯れてしまった」などの経験をしたことはあるのではないでしょうか。
夏で切り花を管理するのは簡単ではありませんが、適切な花の選び方と手入れ次第では、夏でも長く美しい花束を楽しめます。
そこで今回は、花束などの生花を楽しめる一般的な期間をはじめ、夏でも花束を日持ちさせるコツを詳しく解説します。
また、夏におすすめの花の種類なども紹介するので、ぜひ参考にしてください。
そもそも花束などの生花はどの程度もつ?
生花の寿命は種類や季節などで大きく異なります。
一般的に春・秋は7~10日程度、夏は3~5日程度が目安です。一方、冬なら10日以上もつ場合も多くあります。
比較的長持ちしやすい花として、新しい蕾が次々と咲き続ける品種などが挙げられます。
また、暑さに強い花や南国に咲いているような花なら、さらに長期間楽しむことも可能です。花の種類や時期を考慮し、適切な花選びや管理を行えば、生花の魅力をより長く味わえるでしょう。
夏に花束が日持ちしにくい理由
上述したように、夏の季節だと生花は3~5日程度しかもちません。その理由としては、高温多湿の影響が挙げられます。
日本の夏は気温が特別高いことはありませんが、他の国と比べると湿度が高くなりがちです。高温多湿になってしまうと花の蒸散が活発になり、栄養分と水分の消費が促進されます。それだけでなく、花瓶の中の水に雑菌が繁殖しやすくなり、花を傷めてしまいます。
夏でもできるだけ花束を日持ちさせたい場合は、適切な手入れを行うことが肝心です。
夏でも花束の日持ちを良くするコツ6選
夏でも生花を長く楽しむためには、以下の6つを実践すると良いでしょう。
- 水の交換を毎日行う
- 茎の先端を3cm程度切る
- 枯れ葉や小さい蕾はカットする
- 栄養剤を使用する
- 直射日光を避ける
- エアコンの風の当たる場所に置かない
ここでは、それぞれのコツを詳しく紹介します。
水の交換を毎日行う
夏は高温多湿で水質が劣化しやすいため、花束の水は毎日交換することが重要です。
水交換を怠ると水中で雑菌が繁殖し、茎の切り口が詰まって水の吸い上げが阻害されます。毎日新鮮な水に換えて清潔な状態を保つことで、花の日持ちが格段に良くなります。
水替えの際は、傷んだ部分を切り戻すと水の吸い上げがスムーズになり、長持ちが期待できるのでおすすめです。
茎の先端を3cm程度切る
花束の日持ちを良くするためには、茎の先端を適度に切り落とすことも押さえておくべきポイントです。茎の断面が古くなると水の通りが悪くなり、十分な水分を吸収できなくなります。
生花の水の吸収が悪いと感じたら3cm程度の長さで茎を切り戻し、新しい断面を露出させましょう。その際、鋭利なハサミで斜めにカットすると水を吸収しやすくなります。
枯れ葉や小さい蕾はカットする
花束の日持ちを良くするためには、枯れ葉や開きそうにない小さな蕾をカットすることも大切です。蕾は養分を使い、水分の消費を早めてしまいます。
また、茎に付いた水に浸かる葉は腐敗の原因になるため、丁寧に取り除くことをおすすめします。元気な葉だからといってそのままにせず、こまめに手入れすることで生花を長持ちさせることが可能です。
栄養剤を使用する
切り花の日持ちを良くするには、市販の切り花栄養剤が最適です。栄養剤を使用するとバクテリアの発生を防ぎ、切り花に必要な栄養を与えてくれます。
なお、切り花の栄養剤は自作することも可能です。水200mlに対し、砂糖を小さじ1杯、ハイター1滴を加えるだけで簡単に長持ち液をつくれます。砂糖が糖分源となり、ハイターは水の腐敗を防止する効果があります。
ただし、過剰投与は花を傷めるので注意が必要です。手軽に作成できる点がメリットですが、切り花栄養剤ほど効果は期待できないのであくまで代用手段と覚えておきましょう。
直射日光を避ける
切り花は直射日光が苦手なので、避けることをおすすめします。
切り花や花瓶に直射日光が当たると水温が上がり、花が傷みやすくなります。特に夏の西日は日差しが強く、生花に大きな負担をかけてしまうかもしれません。
花束を部屋に飾る際は、直射日光が当たらず適度な明るさを確保した場所を選ぶのが肝心です。
エアコンの風の当たる場所に置かない
エアコンの風は、花の水分を過剰に奪ってしまう恐れがあります。そのため、エアコンの風が直接当たる場所に花束を置くと、早期に萎れてしまう可能性が高くなります。
しかし、夏の季節では適度な冷房が必要不可欠なのも事実です。花束の日持ちを良くするには、エアコンの風が直接当たらない場所に配置し、涼しい場所を選ぶのが重要です。風の通り道を避けるだけでも、花束のもちが良くなるでしょう。
夏の花束をより日持ちさせたいなら加工するのも手
夏の場合、どうしても日持ちがしにくい傾向にあります。そのため、せっかくの花束をもっと楽しみたいと考える方は多いのではないでしょうか。
花束をより長く楽しみたい場合は、押し花やドライフラワー、プリザーブドフラワーなどに加工するのがおすすめです。押し花は2~3年、ドライフラワーなら約2年、プリザーブドフラワーに関しては約5年と長期間楽しめます。
また、本格的な形で残したいと考えている場合は、部屋に飾りやすいように加工してくれるアフターブーケのサービスを利用するのも良いでしょう。
専門店に依頼すれば花束を長持ちしやすいように加工してくれるので、花に関わる大切な思い出を長く残しておくことが可能です。
夏でも日持ちしやすい花の種類
夏でも日持ちしやすい花として、以下の3種類がおすすめです。
- グロリオサ
- トルコキキョウ
- ひまわり
それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
グロリオサ
グロリオサは夏の花として人気があります。花言葉は「栄光」や「燃える情熱」で、赤や黄色の華やかな色合いから名付けられたといわれています。
グロリオサは存在感があり、花束やフラワーアレンジメントに加えれば躍動感を演出できるでしょう。
燃えるような赤やエキゾチックな黄色が夏らしく、暑い季節を盛り上げてくれる花の一つです。
トルコキキョウ
トルコキキョウは夏に開花を迎える花です。白色やピンク色、青紫色などの多彩な色が存在し、フリルのように見える花びらが優雅な印象を与えます。
現在では、品種改良により年中手に入るようになりましたが、夏を彩る花として高い人気を誇っています。上品さを感じる花と鮮やかな色合いから、フラワーデザインの定番花材として活躍している植物です。
ひまわり
ひまわりは夏を感じさせる代表的な花です。
花屋では、中央部が茶色の「芯黒(しんくろ)」と緑の「芯白(しんしろ)」の2種類が主に流通しています。花の向きにも、「横向き」と「上向き」があるので、好みや特徴に合わせて選ぶことが可能です。
鮮やかな黄色と大きな姿は、フラワーギフトで夏の雰囲気を演出するのに最適です。ひまわりを使用すれば、夏らしい明るい空間をつくれるでしょう。
まとめ
夏は暑さと湿気のため、花束の日持ちが悪い傾向にあります。
しかし、毎日の水交換や茎の切り戻し、不要な葉や蕾を取り除くといった正しい手入れを心がければ、夏でも花束を長持ちさせることが可能です。
また、大切な花束をより長く楽しみたいと考えている場合は、ドライフラワーや押し花などに加工することでさらに長期間もつようになります。
ぜひ本記事を参考に、素敵な花束を長持ちさせて夏でも花のある生活を満喫してみてはいかがでしょうか。