日本でも古くから親しまれている「ナデシコ」。平安時代に作られた「万葉集」の中でも登場しているお花です。小さなお花が特徴的でとてもかわいらしく、ガーデニングに取り入れたいと考える人も多いでしょう。この記事では、ナデシコの正しい育て方や名前の由来をご紹介します。

初心者でも簡単!ナデシコの育て方

ナデシコは4月〜11月の長い期間お花を咲かせてくれる植物です。小さく可憐なお花なので、ガーデニングに取り入れる人も多くなっています。比較的丈夫で育てやすいお花ですが、正しい育て方を知っておくことで、初心者でも安心して育てることができるでしょう。ここでは、ナデシコの正しい育て方をご紹介していきます。

置き場所

ナデシコは日光と風通しの良い場所を好みます。そのため、半日以上日が当たる場所で育てるようにしましょう。ただし、あまり日が当たりすぎると土の中が蒸れてしまうので、日当たりに加え風通しの良い場所で管理をすると良いです。

平地ではなくても植えることができるため、傾斜地や石垣の上などで育てることもできます。

水やり

ナデシコは乾燥に非常に強い植物ではありますが、丈夫な花を咲かせるには十分な水が必要です。土が乾いてきたら、たっぷりの水をあげましょう。

ナデシコの品種の中には葉が薄いタイプもあり、乾燥が続くと枯れてしまうことがあるので、こまめに様子を見て水やりを行うことが大切です。

苗の選び方

丈夫なナデシコを育てるには、丈夫な苗を選ぶことが大切です。苗選びのときは、下記のポイントに注意してみましょう。

  • 根がしっかりと張っている
  • 黄色い葉になっていない
  • 太い茎

ナデシコは一般的には小さいポット苗が出回ります。そのため、見るだけだと根がしっかりしているかわかりません。選ぶときは茎がグラグラしていないかなどを判断材料にすると良いです。

また、葉が黄色いものは根が病気になっていたり、害虫が多くついている可能性があります。葉の色はもちろん、変な模様がついていないかなども確認をすると良いでしょう。

用土

ナデシコが育ちやすい用土の割合は、赤玉土7割・腐葉土3割にプラスで3割程度砂や鹿沼土を加えた状態です。この土に少量の石炭を混ぜます。

ガーデニング初心者だと土を作るのも難しいと思うので、ホームセンターなどに売っている培養土でも構いません。

植え付け

ナデシコの植え替え時期は、春・秋がおすすめです。4〜10月に花を咲かせるため、生育期に植え付けをおこなうことで、多少傷ついた根も直ぐに回復することができます。

植え替えの手順は地植えか鉢植えかで変わるため、それぞれの方法を詳しく見ていきましょう。

地植えの場合

ナデシコを地植えするための手順は以下の通りです。

  1. 植え付けの1週間前に土を作っておく
  2. 土が完成したら20cm間隔に穴を開ける
  3. ポットから苗を取り出し、根をほぐす
  4. 穴を開けた場所に苗を入れて土を均す
  5. 軽く手で押して水をあげる

ナデシコは水はけの良い土を作るかどうかが大切になります。そのため、植え付けの1週巻前に1㎡あたり2〜3kgの堆肥と適量の緩効性肥料を混ぜて、水はけの良い土を作っておきましょう。

鉢植えやプランターの場合

ナデシコをプランターに植える手順は以下の通りです。

  1. プランターに鉢底ネットを敷いて軽石を入れる
  2. 市販か自分で作った土をプランターに入れる
  3. ポットから苗を出して根をほぐす
  4. 根を広げるように土の中へ埋めていく
  5. プランターの2〜3cmほど下のあたりまで追加で土を加える
  6. 土を整えたらお水をあげる

ナデシコは非常に根が成長するスピードが早いです。そのため、1つのプランターにたくさん植えるとすぐに根腐れを起こしてしまいます。目安としては5号のプランターに1株植えるのが良いです。

また、ポットから苗を取り出したときに根が真っ白になるくらいびっしり詰まっている場合は、根の部分に十字の切込みを入れると簡単にほぐすことができます。

 

ナデシコの基本情報

ナデシコを上手に育てていくには、まずは基本情報を知ってナデシコがどんな植物なのか理解する必要があります。早速基本情報を見ていきましょう。

 

植物名 ナデシコ
和名/英名 撫子/Dianths、Gillyflower
学名 Dianthus
別名 セキチク(石竹)
科名/属名 ナデシコ科 / ナデシコ属(ダイアンサス属)
原産地 ヨーロッパ、北アメリカ、アジア、南アフリカ
開花時期 4月~11月
耐寒性/耐暑性 強い/強い

 

特徴

ナデシコは春の終わり頃〜秋が始まる頃に花を咲かせる多年草です。基本的に丈夫で育てやすいため、初心者でも夏の時期にはたくさんのお花を楽しむことができます。

品種が非常に多いので、花弁の特徴などは一概には言えませんが、多くのナデシコはのこぎりの刃のようにギザギザとしています。花色はピンクが主流となっていますが、ほかにも赤・赤紫・紫・ピンク・黄色・白・黒など、幅広く花色が存在しています。

名前の由来

ナデシコの名前の由来は諸説ありますが、「花の姿があまりにもかわいらしく、子どものように撫でたくなる」ことから「撫子」とついた説が濃厚です。

また、「大和撫子」という言葉を聞いたことがあるかと思いますが、この言葉は「ナデシコ」が由来になっています。平安時代に作られた「万葉集」では、撫でたくなるほどかわいい人のことを、かわいらしいナデシコのお花に例えて「撫子」と表現されていました。

そこから「大和撫子」という言葉に派生し、名のある男性から大切にされる女性を表す言葉となっていったそうです。現在でも、日本の女性を表す言葉として多くの人に使われています。

花言葉

ナデシコの花言葉は以下の通りです。

  • 純愛
  • 貞節
  • 無邪気

ナデシコのお花がとても小さく可愛らしいことから、上記の花言葉が込められたとされています。どれも女性や子どもが連想できる花言葉ですね。

ほかにも色別に花言葉が込められていますが、どれも素敵な花言葉ばかりなので、プレゼントとして贈っても問題ありません。

 

ナデシコにつきやすい害虫や病気

ナデシコにはさまざまな害虫が寄ってきます。害虫が原因で病気になることもあるので、見つけ次第早めに処理をしてください。ここでは、ナデシコにつきやすい害虫や病気について解説していきます。

害虫

ナデシコにつきやすい害虫は、アブラムシとヨトウムシです。

アブラムシはどんな植物にもつく有名な害虫で、植物につくとほとんど移動をすることはなく、茎や葉から栄養を吸い取って生活します。そのため、放置しておくとどんどんナデシコは弱り枯れてしまう原因となります。

ヨトウムシは蛾の幼虫です。夜行性で日中は土の中にいるため、なかなか姿を目にすることができません。ナデシコの葉が食べられているのに害虫が見当たらないときは、土の中にヨトウムシが潜んでいる可能性があります。

花や葉が食べられたあとがあるときは、夜に見回りをしてみると良いでしょう。

それでも見つからない場合や、夜に見回りができない場合は「草木灰」を撒くと良いです。

病気

ナデシコがかかりやすい病気は以下の通りです。

  • 灰色かび病
  • うどん粉病
  • 立枯病

これらの病気は、害虫が運んできたウイルスやカビが原因で発症する病気です。

風通しを良くして、苗同士を密集させすぎなければカビが原因の病気は予防できるでしょう。ウイルスは害虫が運ぶことが多いので、早めに対処をしてください。

まとめ

ナデシコの花は初心者でも育てやすいお花であることがわかりました。夏に多くのお花を楽しむためには、風通しの良い場所で管理をしたり、水やりをこまめにしましょう。

また、根がとても成長しやすい傾向にあるので、最低でも2年に1度は植え替えを行うと良いです。ぜひナデシコを育ててみてください。